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「洗える靴」と「洗えない靴」の違いを素材で分解

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どうも、おるなけです。

 

皆さま必ず持っている「靴」。

現代人にとって快適に歩くだけでなく、「オシャレは足元から」というように、見た目にも重要な役割を担っているパーツだと思います。

 

靴と言えば、買ったばかりの状態が一番輝いており、そのあとはどんどん汚れていく運命ですよね。

できるだけ長持ちさせたい!という気持ちを持っているのは私だけではないと思います。

 

そこで今回は、靴の手入れに関して「洗える靴」と「洗えない靴」の違いを化学的な素材の観点からお伝えできればと思います。

 

端的に言うと、洗える靴でも、気を付けないといけないポイントがあり、そのポイントは素材ごとに違うということです。

 

 

この記事が皆さまの適切な靴のお手入れに繋がれば、うれしい限りです。

 

 

靴の部材には?

アッパー、ソール、ミッドソール、インソール等(他にももっとたくさん)があります。

今回は、その素材として使われる代表的なもの(以下の3つ)について記載します

 

 

  1. 革(天然皮革)
  2. クッション材(ポリウレタン)
  3. 靴底(天然ゴム)

 

 

革(天然皮革)

多くのビジネスマンに愛用される革靴。革靴には、こだわりのある方はとことんこだわってしまう、不思議な魅力がありますよね。

革靴の革はもともと動物の皮をなめしという加工(化学処理)をすることであの「革」が生まれます。

 

革は動物、つまりたんぱく質でできているため、基本的に水を保持しやすい素材です。

ただ、表面の状態によっては水を弾くようなものもありますよね。オイルを染み込ませている場合なんかは、これにあたります。

革の場合、水で分解したりはしないため、基本的には洗える靴と言えます。ただ、状態を良く保つには、洗ったあとのお手入れが必要不可欠です。

 

上に書いた天然皮革以外に、合成皮革、人工皮革、塩ビレザーなどの人工的に作られた革がありますが、ポリウレタン樹脂コーティングのものほど、洗う(水に触れる)ことに慎重になる必要があります。(詳細は後述)

 

 

 

クッション材(ポリウレタン)

スニーカーのミッドソールなんかに使用されるクッション材。この材料によって、履き心地、歩き心地が変わり、材料によっては軽さに繋がる部分ですね。今回取り上げるのはその材料で使われるポリウレタンです。

 

 

そもそもポリウレタンとは?

アルコールとイソシアネートという化合物を反応させて作られています

アルコールとイソシアネートの組み合わせ次第で原理的には無限に素材を作ることが可能で、一口にポリウレタン言っても、実際にはそれぞれが全く違う材料であり、異なる物性を示します。

 

例えるなら、カレーの味に近いでしょうか。(カレー味ではない)

 

各家庭、お店で食べるカレーはそれぞれ違う味ですよね?

その上カレーの種類もキーマカレーグリーンカレー等々。その上スパイスの配合割合、とろとろ具合とか言い出したらカレーの味は無限に広がります。

ポリウレタンもそんな感じです。

 

ポリウレタンの弱点は?

 

水です。何故かというと、水とポリウレタンは化学反応を起こすからです。

 

先ほどポリウレタンは(ほぼ)無限の種類があるとお伝えしましたが、共通するユニットがあります。それは、ウレタン結合という構造です。

ウレタン結合は水と反応し、ポリウレタンはどんどん分解していきます。すると、知らないうちにボロボロの状態へと進んでしまうのです。

 

化学的に説明すると、ウレタン結合のカルボニル基は水のような弱い求核剤とも反応してしまうセンシティブな状態にあります。

さらに、加水分解におけるウレタン結合部分と水との反応性は、酸性でも塩基性アルカリ性)でも促進されてしまう運命にあります。

 

ただ、水に触れた瞬間に靴がボロボロになるわけではないので、水が付いたら早めに拭き取り、乾燥させることが重要です。

靴を洗う際は酸性、アルカリ性洗剤ではなく、中性洗剤を使用すると、ウレタンの劣化が抑制されます。

 

靴底(天然ゴム)

靴底がオレンジのもの、ありますよね?体育館シューズなんかを想像してみてください。グリップが半端ないあれです。

 

天然ゴムは、水にとって油のような存在です。そのため、水と反応するどころか、弾くぐらい水と仲が悪いです。

そのため、洗うことに関しては全く問題ないでしょう。

 

天然ゴムは何に弱い?

酸素(オゾン)に弱いです。オゾン影響はほとんどないですが、靴を干すときに靴底が直射日光にあたらないようにすれば、劣化しづらいです。(紫外線は酸素と反応してオゾンを発生させるため)

ただ、ほとんど気にしなくていいレベルです。

 

 

「洗える靴」と「洗えない靴」の違いは?

上記をまとめると

  • 革は洗えるが、そのあとのケアが重要
  • ポリウレタン素材は水に弱い  水に濡れたら乾燥が必須
  • 靴底は水に対しては何の問題もない。強い日差しには注意

 

結局、洗える・洗えないは靴で決まるのではなく素材で決まります。ポリウレタン素材は特に注意する必要があります。

 

ただ、洗おうと思ったら基本的に洗える、それが靴です。

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか?素材の特徴をよく考えることで、ケアの仕方が変わってくると思います。

 

因みにスエードの靴とオキシクリーン(靴を洗える洗剤)の組合わせは避けた方がいいです。私のスニーカーのスエード部分がどえらいことになりました。(真似しないほうがいいです)

 

素材に着目すると、自分なりの見方ができるようになり、靴を清潔かつ綺麗に保つことに繋がります。

今後は、デザインだけでなく靴の「素材」に注目してお買い物してみてください。

 

では。